父、進示と食事のためホテルグランヴィア広島を訪れました。
ロビーの一角に広島を紹介するコミュニケーションスペースがあります。ホテルのマネージャーに声をかけられ、書棚に“Rising from the Ashes” と 「8時15分」が置いてあり海外からのお客様にも紹介していただいていると知らせていただきました。父とともに書籍にサインをさせていただき、マネージャーを始めエグゼクティブの方達にとても喜んでいただくとともに、父も幸せな一日となりました。
美甘章子が代表をつとめるサンディエゴ・ウィッシュ(www.sdwish.org)主催で、8月12日の夜、「国際平和とヒューマニティーの日2016」のイベントの一環として、「灯籠流しと文化交流の夕べ」がカリフォルニア州サンディエゴ市隣接のコロナド市で行われました。
参加者は、美しい海辺の涼風の中、手作りの灯籠に平和へのそれぞれの想いをつづりました。日米メキシコなどからのこども達は佐々木禎子さんの話を知って折鶴を習い、平和フォーラムでは、美甘章子による「広島・長崎 知られざる物語」と題する講演が行われました。広島原爆に使われたウラニウムが最終されたコンゴのウラニウム鉱の村シンコロブウェーでの悲劇や、森重昭氏が調査をした原爆で犠牲になった12名の米兵の話などが紹介され、歴史の教科書に載らない人たちや地域についても学び考えることの大切さが説かれました。
8月10日、カリフォルニア州サンディエゴ市のバルボア公園内にある日本友好庭園の稲盛パビリオンで、広島出身のテノール歌手、古橋郷平(こはし・ごうへい)による平和コンサートが、日本友好庭園とサンディエゴ・ウィッシュ共催で行われました。このコンサートは、サンディエゴ・ウィッシュが例年広島と長崎の原爆記念日の週に行なう「国際平和とヒューマニティーの日」一連イベントの一環です。
被爆二世の母親に「郷土と世界へ平和の祈りを込めて」郷平と名づけられた古橋氏は、国内外のコンクールで優勝・入賞を果たし、平和へのメッセージを声楽により世界に伝える活動をしています。今年6月に「Amore」でアルバムデビュー。
日本時間8月6日にサンディエゴで行われた世界平和式典でも、逆境に負けない精神と永遠の愛を謳った”Il mio cuore va” (My Heart Will Go On, 映画「タイタニック」のテーマソング)を披露し、サンディエゴ湾に響き渡るかと思われるほどの、こころを動かす歌唱でした。コンサートでは、イタリア歌曲を中心に愛と平和へのメッセージを熱傷し聴衆を魅了しました。
Diego-WISH~世界平和を願う会の主催で、世界平和式典が広島の平和式典と同時に開催されました。
ロサンジェルスから新村日本国総領事、在サンディエゴ・メキシコ総領事館代表領事、サンディエゴ郡長ロン・ロバーツ(代理)、コロナド市長、サンディエゴ港湾局理事などにも御参席いただき、約100名の日米一般市民や外国からの訪問者達が集い、松井広島市長、湯崎広島県知事、田上長崎市長の平和のメッセージも紹介されました。幼児による献花と小中高校生による献千羽鶴の後、広島の原爆投下時間午前8時15分(現地時間8月5日午後4時15分)に横浜友好の鐘を広島の被爆者、被爆二世(美甘)、被爆三世(テノール歌手、古橋郷平)、被爆四世(6歳女子)が突き、戦争犠牲者のご冥福を祈るとともに、恒久平和への願いを深めました。
ロン・ロバーツ サンディエゴ郡長により、「(日本時間)8月6日を『国際平和とヒューマニティの日』とする」と宣言していただきました。
ドイツ系アメリカ人8歳男子のこども平和大使によるスピーチと、メキシコ人国際関係論専攻女子大学生の若者平和大使によるスピーチも行われ、次世代の平和社会に向けて、参加者全員が想いを新たにしました。
「8時15分」主人公である父、美甘進示と共にオバマ大統領広島訪問を広島のTV局生放送スタジオで見届けました。父は、「自分がはっきり認識できるうちに来てくださるとは思いもしなかった。感謝の気持ちで一杯だ。来るという行動を実際にとること自体に深い意義がある。原爆により味わった苦しみが、洗い流されたような感じがするほどだ。」と感無量でした。
私は米国に住み平和活動をする中で、まだ大多数が原爆使用正当論を崇拝し、教えられ、信じているため、現役大統領が広島訪問をすることがどれほど困難なことだったか身にしみてわかっています。そんな中で実際に行動し、ありとあらゆる考慮を重ね含み、政治よりもヒューマニティーに焦点を置いたスピーチは、私が普段から伝え広めているメッセージと同じ意味で、大統領が今この時の現実になしうる最高のものだったと評価しています。
日本語に訳すと消えてしまいかねないニュアンスが様々なところに慎重に含まれていました。例えば、「原爆が残虐な終結をもたらした。」今までアメリカのトップや高官は「必要悪」「想像を絶する破壊的結末」「必要な決断」のような表現を使い、メジャーなスピーチで「残虐」と原爆を表現するのは聞いたことがありません。その言葉の中には「人間が意図的にもたらした酷い仕打ち」というニュアンスが含まれています。これは謝罪の言葉を安易に用いるよりも、ヒューマニティー全体に対する深い洞察と方向転換への必要性の意味が含まれています。
オバマ大統領の広島訪問とスピーチにより、今すぐ何かが大きく変わるとは思いませんが、歴史に残る人類の新しい時代の第一歩になると思います。
オバマ大統領広島訪問のために私も広島に帰郷します。この訪問は真の意味で歴史的に大きな意義を持っています。いろいろな国のいろいろな人たちが意見を述べていますが、大切なことは「私達 対 あの人達」という考え方ではなく、「人類全体がファミリー」という物の見方だと思います。「私達 対 あの人達」と言う見方では、「自分達はこんな目にあったのに。。。」「あの人達はこんなひどいことをした。。。」という被害者の立場から抜けることはできず、恨み、ねたみ、ひがみ、仕返し、憎しみが終わり無く繰り返されることになってしまいます。非難や中傷や憶測がメディアで飛びかうのは最近に始まったことではありませんが、その前にまず、自分は何ができるかを考え実行することが大事だと思います。
アメリカで核無き平和のための教育啓蒙をしている私達は、いかに原爆使用正討論が根深いか、いかにそれを信じている人達が激しい感情をむき出しにして、「ヒロシマ」と言う言葉にさえ反応するか、何度も直面してきました。そのような体験を通じて、なぜ戦後70年以上もアメリカの大統領が誰一人として広島や長崎を訪れたことがないかがよく理解できます。その上で、今回のオバマ大統領広島訪問が実現することは、多くの人たちが舞台裏で長期に渡って努力をしてきた結果であり、オバマ大統領の勇気でもあると思います。
このイベントが、世界の人達に和解と平和の大切さを啓発する事を心から願っています。
「8時15分」に推薦の言葉を書いてくださった小溝康義 広島平和文化センター理事長は全世界6,900以上の都市をたばねる平和首長会議事務総長でもあります。
このたび平和首長会議より全国連加盟国に対してのオープンレター「核兵器のない世界をめざして:10億市民の訴え」が、フォーリン・プレス・センターで紹介されました。
ヒロシマ・ナガサキの悲劇を決して繰り返させないという被爆者の切実な訴えに耳を傾け、核兵器を廃絶することが急務、と呼びかけています。
アメリカ滞在中のトルコ人の若者が、”Ertugrul 1890”(邦題「海難1890」)の話を教えてくれました。
私の知らなかったトルコと日本を結ぶ二つの史実。アメリカでは公開されていませんが、トルコ人から日本文化や日本人に対する深い尊敬と親愛の気持ちを直接聞き、予告編を見ただけで感動して涙が浮かびました。
「8時15分」がメッセージとして送る「許すこころ」と重ねて思うことがあります。人間は過去の恨みを許すことが出来ず戦いを繰り返していますが、過去の恨みは許し、過去の感謝を忘れないで恩返しを繰り返すことができたなら、この世界は何と美しく平和になるだろう、と。