タリバンに拘束されていた米兵のボウ・バーグダール(Bowe Bergdahl)軍曹が、キューバの米海軍基地で拘束していた5人のタリバン容疑者と引き換えに、5年ぶりに釈放され現在ドイツの病院で観察治療中です。5年間拘束されている間に、目に見えるほど健康が害されているということで急を要し開放交渉をアメリカが推し進めたということです。バーグダール軍曹の健康状態は詳しくは発表されていませんし、通常生活に戻るまでにはかなりの時間を要すると考えられます。先日観た捕虜の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や復讐心やヒューマニティーを描いた映画、『レイルウェイ 運命の旅路』(原題:The Railway Man、コリン・ファース、二コル・キッドマン、真田広之出演)を思い出しました。
拘束中に拷問を受けている可能性は低くないので、身体の健康チェックと共に、PTSDや他の精神科疾患があるかどうかの診断と対策も必要です。
先日NYで参加したアメリカ精神医学会総会でも、イラク・アフガニスタンの帰還兵とPTSDに付いての研究発表が複数あり、PTSDの症状がありつつ受診しない人が9割にも上ると先月発表されました。ある研究者は、「マラリア予防の薬に、抑うつ、不安、幻覚など精神疾患症状の副作用があり、PTSDと誤診される場合もある。」と発表していました。
日本人には余り身近な話題に感じないかもしれませんが、世界のいたるところで戦争や紛争は毎日起こっており、極限の体験を強いられる人間もたくさんいます。大変心が痛みます。
バーグダール軍曹は一人っ子だそうで、両親がインタビューを受けていましたが、まだ健康面や今後の心身回復や社会復帰の不安はあるものの、生きて帰ってこれるということに対する喜びはいかほどのものかと想像します。