2014-5-26

Posted by wpmaster on 5月 25, 2014
Dr.Mikamoブログ

カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の近く、アイラ・ビスタ地区で金曜の夜あった銃乱射事件について、いろいろな報道がありますが、アメリカではこのように容疑者が死亡している場合に、容疑者の動機や心理状態を理解し、その後の犯罪心理学や法精神医学に役立つように「精神的検死(Psychological Autopsy)」を行うことがあります。

 

「精神的検死(Psychological Autopsy)」は、容疑者の生前の刑事・民事・少年裁判などに関する全ての記録、学校の成績や活動などの記録、医療記録、心理療法やカウンセリングを受けていればそれらの記録など、ありとあらゆる記録を吟味し、可能な場合は家族・知人・職場や学校の関係者のインタビューを行い、精神鑑定で行う知的機能、情緒的機能、行動様式、社会性、創造性、生理心理的な機能などにおける仮説をたててから、出来る限りの検証をおこないます。本人はもういなくなってしまっているので心理検査はできませんが、これまでの記録や報告からかなりの理解をすることも可能です。その中で、その容疑者が生前に精神疾患に苦しんでいたかどうかの可能性も考慮します。実際に診断や治療が行われていなくても言動の様式からかなりの確率で精神疾患や人格障害が疑われることもあります。

 

今回の事件に関しても、きっと精神鑑定専門の法心理学者が精神的検死をするでしょう。「許す」という心を持つことがいかに難しいか、恨みが凝縮され膨れ上がるとどれほど危険で悲惨なことか、戦争のようにスケールの大きい被害や不幸ではありませんが、私は結局同じことから来ていると思います。

 

被害者の冥福を祈ると共に、遺族に心からお悔やみを申しあげたい気持ちです。
初代「ゴジラ」の本多猪四郎監督が、「色の無い」ヒロシマの廃墟を戦後すぐに列車で通り過ぎる時、「自分には何が出来るのだろう」と思ったのは、私が今感じているような気持ちなのかもしれません。「私には何が出来るのだろう」

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